竹久夢二物語 恋する
明治39年。すでに23歳の竹久夢二の絵は日本の画壇で異彩を放ち、多くのファンを獲得していた。彼は理想のモデルである年上の女、たまきと結婚し、夢二の絵の世界は確実に拡がっていった。明治43年、夢二は大逆**の幸徳秋水らの活動に協力したために検挙された。やがて釈放された夢二は、たまきと長男、耕助を捨てて家を出て、一人で創作活動にうち込んだ。彼は**で行なわれる文展に対抗して、第一回の個展を開くことを企画していたが、壁にぶつかった。独学ではじめた彼の絵には、写実の手懸りとしてモデルが必要なのであった。彼は2年ぶりにたまきを訪ね、モデルになってくれと土下座して頼んだ。大正元年11月、夢二の第一回個展は文展を圧倒する大成功をおさめた。夢二は復縁したたまきのために、港屋という絵草紙の店を開いた。その二階は夢二を慕って集まる画学生たちのサロンになった。やがて、たま...