野坂昭如「戦争童話集」5——「焼跡の、お菓子の木」又名Yakeato no, Okashi no Ki
***戦争も終盤に迫った頃のことです。太一は空襲で家をなくしても、いくらお腹を減らしても、笑顔を絶やさずに暮らしていました。ある日、体の弱い友人・春男から1冊の本をもらいます。そこには、“パンの木”1本あればみんなお腹いっぱい食べて暮らしていけると書かれているのでした。もしかしたら“お菓子の木”だって…と夢を見る太一たち。しかし、空襲はますますひどくなる一方です。太一たちは逃げ惑い、春男の家にも火の手が迫ります。はたして“お菓子の木”は夢でしかなかったのでしょうか…。