望乡原名:望郷,
昭和一五年、鹿児島県肝属郡。代々続いた窪田商店は社長窪田国光の放蕩三昧な生活によって倒産する。国光は出奔し、盲目の妻けさは生家に戻され、残された少年・*と姉の恵子、幼い妹富恵は国光の腹違いの兄・信吾の家に、乳飲子の健次は遠い親戚に引き取られた。***戦争が勃発し、信吾は戦場に赴き、*と恵子は身重な兄嫁・好子に徹底的にこき使われる。そんな矢先、健次の訃報が届く。葬儀が終り、悲しみにくれる*と恵子を待っていたのは父・国光だった。親子三人の平和な暮らしが始まったがそれも束の間、国光の借金のため恵子は金沢の芸者置屋に売られ国光と*の放浪の旅が始まる。やっとのことである女郎屋に落ち着くが、国光は糖尿病で三か月の命と診断される。そんな国光の看病を献身的に勤める芸*トメに、*は恋心を抱く。豪快な国光は、死んだら金の入れ歯を役立てるよう言い残し死んでいく。埋葬から数...