この世の花完結篇 第十部 熱砂の抱擁
池田は久美子の裁判費用のためパキスタン行きを志願、支度金を内密で弁護士に託す。しかし清の語る真実で彼女は白日の身となる。一方、アメリカから戻った田宮が島本社長の遺書を持ち帰ったことから京子の心も遂に打ち解け、美智子の胸にとび込む。釈放された久美子はかつての同僚早苗から池田の犠牲的行為を聞き激しく動揺。自分の気持を決めるため有川へ会いに行くが、彼女が金沢へ着いた時、有川の義母お信は彼女に息子と孫由夫のことを頼みつつ息を引取る。池田と幸せになれという有川、しかし彼の淋しげな後姿をみた久美子は、転げるようにその後を追い二人はいつか固く抱き合うのであった。