この世の花 第三部 開花の巻
有川貢は**発電の専務浅間剛造の書生をしながら大学へ通っていたが、令嬢久美子と総てを許し合う仲となった。有川の学友吉野も彼女を愛しているが、剛造は岩部川ダム建設の汚職に連座し、それを吉野の父の融資で防ぐため、娘を彼と結びつけようとして有川を追いだした。その上、自分の持家に住むお信 と由美の母娘も、有川に好意を持つ由美が彼と久美子の連絡を取ったのを知って追出してしまう。有川が心変りしたと誤解した久美子は、彼の子供を妊んでいるのを秘めて吉野と結婚した。傷心の有川は親友田宮の勧めもあって、卒業後、自分を慕う由美と結婚した。然しこの二組の夫婦は決して幸福ではなかった。吉野は有川の事を嫉妬して久美子に辛く当り、久美子も彼に何の愛情も感じない。有川はやっと就職したが、取引先の社長秘書になった吉野の*計で失職する。剛造の汚職連座の噂さが高まった頃、有川は田宮の勤め...