オイディプスの刃
山口県下関の旧家、大迫家では、刀の収集を趣味にし**・次吉を所有する家長、耿平、耿平と先妻の子として生まれた明彦、耿平の現在の妻でラヴェンダーの香水づくりに思いを入れる香子、彼女の連れ子である駿介、耿平と香子の間に生まれた剛生、耿平の妹で先の結婚生活に破れた雪代が暮らすという複雑な人間関係が渦巻いていた。毎年、夏になると次吉の手入れのため研師、秋浜泰邦が大迫家にやって来た。彼は数年前から香子と秘かに関係を持っている。ある日、泰邦が次吉で斬殺された。それを知った香子も命を絶つ。その直後、二人の死の真実を覆い隠すかのように耿平も自殺した。雪代の頑強な主張により、明彦と剛生は大迫家に、駿介は香子の実家に引き取らせることになった。だが、剛生は家を飛び出し行方をくらます。月日が流れ、調香師となった明彦は**旅行で南フランスのグラースにいた。彼はそこで、香水王デ...