継母
父の再婚相手の過剰な世話焼きに可奈子はなんとか対処してきたが… 母の死から3年後、父は再婚した。そしていま父は死の床に伏し、彼女は実の母親でもない女性と、ひとつ屋根の下2人きりで暮らす。彼女たちを結びつけていたはずの父を失っても、2人は共に暮らしていくのか。母でもない女性を母と呼び続けることはできるのか。 典型的な2階建ての一軒家、なんでもない日常の一コマ、見慣れたはずの光景が、2人の女性の微妙な関係性によって、遠近感を狂わせていく。特殊な道具立てにも奇抜なアイディアにも頼らず、距離を置いて人物を見つめ続けるカメラと抑制の利いた音響によって、2人の女性の生活はホラーにもアクションにも変化していく。長回しの後にクロースアップが挿入される瞬間。薄暗い室内から外へと飛び出す瞬間。その都度この映画は表情を変える。「当たり前」の、なにかがほんの少しだけ違う。た...