冒険者たち
瀬戸内海に面した小都市・倉敷。父の遺した廃館になった映画館の屋根裏で無為な生活を送っているヒデは、ある日、幼ななじみのケンと再会した。ケンは中学二年の時、ヒデと一緒に家出し、そのまま全国を一人で放浪、空き巣をして少年院に入り、つい最近、仮釈放になって倉敷に戻り、学校を専門に盗みを働いている。二人は、瀬戸内海の小島で、“もぐり”という呼び名の高校生が、一人で海底の宝探しをしているのに出会い、自分たちも加わる事にした。宝探しの合い間には、大原美術館界わいに出かけ、観光にやって来る女の子のハントに精を出していた。そんなある日、ケンとヒデは情感豊かな東京から来た女子学生ユミと会った。やがてユミも宝探しに加わる事になった。夏も去ろうとする日、もぐりの父が力ずくでもぐりをりを連れ戻そうとしたが、もぐりは海に忍び込んで島に戻った。今では四人の間には、奇妙な連帯感が...